2005-05-17
鼻行類
もっと驚いてね
少し前に『へんないきもの』という本がちょっと話題になったりしましたが、ご存知ですか。その名の通りのへんないきものがいっぱい載っててとても面白い。しかも、ぜんぶ実在。
でも、Cheeは、もっとスゴイ生きものを知っている。
鼻行類。鼻行類。 この驚くべき動物たちの存在が、なぜもっと知られて騒がれないのか、とても不思議です。

『鼻行類』ハラルト・シュテンプケ、思索社。
鼻が進化して、で歩するから鼻行類。鼻行類に関する書籍が(日本語訳されているものでは)他にはほとんどないらしく、鼻行類について知ろうと思うと、数少ないこのような1冊を探さないといけないみたい。なんというか、ページを開けてみると味もそっけもないいわゆる「専門書」で、非常〜にとっつきにくいです。でも、ちょっとずつ読んでるうちに、こんな動物がほんとにおったか!!ほんまか!?という驚きで、夢中になって読んでしまいます。
「類」とまとめられるように、「ある生物地理的に孤立した群島でのみ、独自の進化をとげた哺乳類のひとつ」であり、その種類はかなり多様。鼻が歩行器官である鼻行類もいれば、その鼻を捕食の道具(!)として使うそれもいます。ほ、ほんと!?
でも考えてみればきりんは首が伸びちゃったし、ゾウの鼻も伸びちゃったし、そもそも太古の魚が陸に上がるときにはエラが手足のように変化していったということだし、進化の過程で、ある特定の器官だけが特異に成長してしまうのは不思議すぎることではないのよね。
ただ、鼻行類はその発見がとても遅く、そしてあっというまに絶滅(?)してしまったために、突飛な進化がどうしても信じがたいというだけで。
鼻行類が生息する群島が発見されたのが1941年、だけどもその群島が研究所もろとも核実験により消滅してしまったのが1950年代。日本軍の捕虜収容所からの脱走兵により発見されて、どこぞの国の(書いてないからわからない)核実験により海に沈んでしまったという南海の群島。貴重なひとつの生態系の存在を、ごく最近の戦争が明らかにし、そして核によってあっというまに消し去ってしまうなんて、なんて皮肉なんでしょう…。

そんな理由で残る資料が絶対的に少ない、というのが、鼻行類が知られない理由だとしたらあまりにも寂しい。だけど、Cheeが10年以上前に買ったこの本も、絶版となっているらしいです。なんてこと。

もっと広く知られて、そして誰かが再び「残っていた鼻行類」を発見する日が来るといいのに…。と、願いつつ。
pages:
ダンボハナアルキの項
ダンボハナアルキの項
骨格と筋系の図
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